「心」の主な働きは血の循環であり、さらに高次元の精神の活動まで司っています。

 

心は血脈を主る

心は血を全身に循環させる

心は胸中をめぐる宗気と共に血を全身の隅々に行きわたらせます。

この働きにより、すべとの組織、器官は血の栄養を受け取ることができます。

これを「心は血脈を主る」と言います。

心の働きが衰えると、胸の動悸、息切れ、弱弱しい声、脈が渋るなどの症状が現れます。

 

心は神明を主る

心は精神の働きを統括する

「神」とは感情、思考、意識、判断などすべての精神的な働きを指す言葉です。

人の精神の働きは本来、五臓がそれぞれ分担し、また協力し合うことで成り立っています。例えば、肝には「魂」があり、理性、判断、意思、思惟を主り、脾には「意」があり、思考、記憶、集中などを主ります。肺には「魄」があり、本能的な感覚、運動の働きが備わり、腎には「志」があり、意志、信念の力、記憶力が宿っています。この「魂」「意」「魄」「志」すべてを総称したものが「神」です。

神は心に宿っているので、これを「心は神を主る」と言います。

したがって、心が充実していると、精神状態は非常に穏やかで情緒が安定し思考能力も活発な状態になります。

心の異常は様々な精神症状をあらわしますが、特に不安感、不眠、夢を多くみる、驚きやすいなどの症状として現れます。

さらに重症では、言語錯乱、精神錯乱、意識不明、無表情、無反応となってあらわれます。

 

心は舌に開竅す

心は舌の働きを維持し、心の病変は舌にあらわれる

心は心に属する手の少陰心経を通じて血を舌に送り出し、味覚をはじめとする舌の生理機能を維持しています。

そのため、心の病変は舌にあらわれ、心に異常があると舌先が痛い、味がわからない、舌の潰瘍などの症状があらわれます。

 

西洋医学でいう脳の働きも

東洋医学では、「心」は知能や精神活動にかかわる西洋医学でいうところの「脳」の機能に属するものを含むと考えています。

ここには記憶や睡眠、意識状態、随意運動、言語機能といったものが含まれ、これらの働きは「神」が主っているとします。

「心」はこの「神」が納まっている宿舎のような場所と考えられています。

全体を統括する器官として、「心」を「君主の官」と呼ぶこともあります。

そして、「心」は「腎」と水のやり取りをしていて、「腎」の勢いに働きが左右される面があります。

年を取ると記憶が低下するのは腎の勢いが低下して心に潤いをできなくなるからだと考えられています。