ストレスの多い現代社会

近年、私たちの社会はめざましい発展を遂げました。

生活の水準は格段に向上し、いまや日本は世界でも有数の豊かさを誇る国です。

 

しかし、その一方で、社会の構造が複雑になり、価値観なども多様化するなか、

人間関係や仕事、さらには生き方について悩みや不安を抱える人が多くなっています。

 

便利で豊かな反面、複雑で変化の激しい現代社会。

その中で多忙な毎日を送る私たちはストレスを感じることが多くなっています。

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ストレスとは

「ストレス」とはもともと

「物体に圧力を加えることで生じる歪み」を意味する

物理学や工学の分野の専門用語でした。

 

例えば、ゴムボールを指で押すと

ボールは圧力で歪んだ形になります。

これが「ストレス」です。

 

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では、この状態を人間の体に当てはめてみましょう。

 

「圧力」には、仕事の悩みや人間関係のトラブルなどといった

精神的な問題のほか、暴飲暴食・不規則な生活などの

生活習慣の問題、過労なども当てはまります。

 

そして「歪んだ形」は

心や身体がバランスを崩した状態です。

 

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私たちの身体は少々の「歪み」ならば

すぐに元に戻すことができます。

しかし、その状態があまりに長く続いたり

歪みを起こす「圧力」が強すぎる場合には

心や身体に様々な異常を起こしてしまいます。

 

ストレスと心と身体

ストレスの影響が最初に伝わるのが脳です。

脳の視床下部という部分では、

自律神経の働きやホルモンの分泌を調節する

大事な役割を担っています。

 

ところが、ストレスがかかると

この視床下部の働きが乱れ

自律神経やホルモンを正常どおりにコントロールできなくなってしまいます。

自律神経の働き

自律神経は自分の意志とは無関係に、心臓や胃腸、血管などの

身体各部の働きを調整している神経です。

 

私たちが意識をしなくても呼吸をしたり心臓を動かして

生命を維持し続けられるのは自律神経のおかげです。

 

そして、自律神経には

交感神経と副交感神経の2種類の神経があり

それぞれが相反する働きを担っています。

 

例えば、緊張すると心臓の鼓動が激しくなることがあります。

これは心臓の鼓動を盛んにする交感神経が過敏になり

その働きが強く現れるためです。

その後、緊張がほぐれリラックスすると鼓動は治まります。

リラックスする時には鼓動を緩やかにする副交感神経が働き

興奮状態を鎮めるのです。

 

このように、交感神経と副交感神経は

ちょうど綱引きのような感覚でお互いにバランスを取りながら

身体の各部の働きを調整しています。

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ところが、視床下部の働きが乱れると

自律神経は正常なバランスを維持できなくなり

その結果、身体のあちこちにいろいろな問題を起こしてしまいます。

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ホルモンの働き

ホルモンにはたくさんの種類があります。

例えば、血糖値を調節するホルモンや新陳代謝を調節するホルモン、

内臓の機能を調節するホルモンなど

それらの働きは実に様々です。

 

そのため、ホルモンの分泌を調整できなくなると

身体のあらゆるところに影響が現れる可能性があります。

 

また、ホルモンは自律神経の働きとも深く関係しています。

 

自律神経とホルモンのどちらか一方が調子を崩すと

もう一方にも問題が起こり、

両方がうまく働かなくなるのです。

 

つまり、ストレスは体内の環境を調整している

自律神経やホルモンの働きに異常を起こし

身体のあちこちの調子を狂わせます。

 

さらにそれだけではとどまらず、

ストレスは感情や思考をコントロールしている

脳の神経機能にも問題を起こすことが分かっています。

 

脳には1千億個もの神経細胞があり

一つ一つの神経が情報を伝達しあうことで

正しい判断や行動が行えるようになっています。

 

ところが、ストレスがかかると

神経同士の情報伝達がスムーズにいかなくなり

感情や思考が不安定になってしまうのです。

 

このように、ストレスは脳に影響を与え

たくさんの機能に問題を超します。

 

すると、心や身体のバランスが崩れ

次のような様々な症状が現れるようになります。

 

ストレスによる様々な症状

心の症状

イライラし、些細なことで怒りやすくなります。

また、気分が落ち込み、考え方が後ろ向きになってしまうこともあります。

 

一時的にイライラしたり気分が落ち込むことは

誰にでもありますが、

情緒不安定な状態が長く続き、日常生活にも支障が出るような場合には注意が必要です。

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身体の症状

「食欲がない」「よく眠れない」「疲れやすい」

といった症状がよく現れます。

 

また、胃や腸の働きがおかしくなって便秘や下痢を起こしてしまったり

女性の場合には月経が不順になることもあります。

 

ほかにも「不定愁訴」といって

検査ではどこにも異常は見つからないのに

辛い症状が体のあちこちに現れる可能性があります。

 

その症状の一つに「のどの不快感」があります。

「のどのあたりに何かが引っ掛かっているような異物感を感じたり

チクチクする刺激を感じたりして

咳を繰り返しているのに

のどに何も悪いところはない」

これを漢方では「咽中炙臠(いんちゅうしゃらん)」と呼び

心や身体がバランスを崩した時に起こる代表的な症状と考えています。

 

そのほかにも、頭痛やめまい、動悸、吐き気など

様々な症状が起こります。

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これらの症状は心と身体のSOS信号です。

 

バランスを崩した状態を放っておくと

病気から体を守る免疫の働きにも異常を起こし

さらに体調を崩してしまうことにつながります。

 

症状に気づいたら、心と身体にかかる負担を軽くし

できるだけ早く元の正常な状態に戻せるよう

対策を考えていきましょう。