ついつい甘いものを摂りすぎてしまったり…
どうしても食欲が抑えられなったり…
もしかしたら、そういう人は睡眠時間に
問題があるのかもしれません。
メカニズムはまだ明らかでないものの
睡眠不足が体重の増加を招くことは
以前からよく知られていました。
そんな中、昨年の末から今年にかけ
睡眠時間と肥満が関係していることの裏付けともいえる
研究結果が2つ報告されました。
睡眠時間が不足すると甘いものが食べたくなるメカニズム
1つ目の実験は、睡眠時間(レム睡眠)が不足すると
高カロリーのものを欲するようになるため
肥満につながるという事に着目し、
そのメカニズムを調べた実験です。
睡眠のメカニズム
この実験結果を説明する前に
まずは睡眠について復習しておきたいと思います。
睡眠は眠りの深さによって「レム睡眠」「ノンレム睡眠」に分けられます。
レム睡眠は脳の一部が活動している浅い睡眠です。
ノンレム睡眠は深い眠りで、脳は完全に休んでいます。
眠りにつくと最初にノンレム睡眠が現れ、その後レム睡眠となり
眠っている間、このサイクルが約90分間隔で繰り返されます。
それではここから研究結果をご紹介します。
実験方法・結果
【方法】
レム睡眠だけを減少させる器具を用いて
レム睡眠不足の状態にしたマウスを
次の2郡に分け、ショ糖や脂質など
太りやすい食べ物に対する摂食行動を観察しました
①レム睡眠を不足させただけの群(対照群)
②レム睡眠を不足させ、食べ物の味や香り、食欲などの嗜好を判断する前頭全皮質の神経活動を抑制した群(抑制群)
【結果】
①の対照群ではショ糖・脂質ともに摂取量が増加。
一方、②の抑制群では脂質の摂取量は増加したものの
ショ糖の摂取量は増加しませんでした。
【筑波大学HPより】
①の結果から、睡眠時間が不足すると
必然的にレム睡眠が不足し、それが脳に影響を及ぼして
ショ糖や脂質を過剰に食べたくなる仕組みが考えられます。
また、②の結果から
ショ糖を食べたくなる欲求は前頭前皮質で
起こっている可能性が示唆されました。
このことから、研究チームでは
睡眠時間(レム睡眠)の減少は
エネルギーバランスに悪影響を与え
体重増加につながる可能性が高いと考察しています。
睡眠不足がエネルギー代謝に影響を及ぼすメカニズム
2つ目の研究は、人の代謝を測定することで
睡眠時間の短縮がエネルギーバランスに
影響していることを明らかにした実験です。
実験方法・結果
【方法】
若い健康な男性9名を対象として、決まった食事をする中で
下記の①または②の条件直後48時間の
エネルギー代謝を測定しました。
なお、個人差の影響を除くため、2週間の休止期間を挟み
参加者全員①および②の条件でデータ測定を行いました。
①3日間7時間睡眠を行う
②3日間3.5時間睡眠を行う
【結果】
睡眠時間を短縮すると(3.5時間睡眠)
夜間のエネルギー消費量が増加するにもかかわらず
1日のエネルギー消費量は7時間寝た時を同じでした。
しかし、睡眠時間が短いと
食欲抑制ホルモン(PYY)が減少し、
空腹感が増す結果が得られました。
【早稲田大学HPより】
このことから、研究チームでは睡眠時間が短い日が続くと
エネルギー消費量は変わらないのに食欲が増すため
肥満につながってしまうことが科学的に明らかになったと
考察しています。
以上、ここで紹介した2つの実験は、仕組は異なるものの
どちらの研究でも睡眠時間の不足が
肥満を招きやすいという結果を導いています。