試験目的
アレルギー性鼻炎の各種症状の改善に使用される多くの市販鼻炎薬は
服用後咽喉の渇き(口渇)の副作用を多く起こすことが知られている。
その要因はペラドンナ総アルカロイド(副交感神経遮断薬)の
配合にあるこことは言うまでもないが
この成分が配合された市販鼻炎薬を比較対象とし、
口渇を起こすことの少ない成分構成からなる
アレルギー性鼻炎薬ホノビエン錠の臨床における口渇発生の度合いを
比較検討するために、両者の唾液分泌に対する作用を薬理試験により検証した。
試験方法
口渇は、唾液分泌が抑制されることにより出現する。
そこで本薬理試験では、ピロカルピン(副交感神経緊張薬であり、
唾液分泌を誘発する働きがある薬剤)投与下において分泌促進される
ラットの唾液量を一定時間内、脱脂綿で吸収採取し、
その重量を比較することでその作用を検討した。
試験は8週齢の雄ラットに被偽薬であるホノビエン錠
並びに市販鼻炎薬を投与した後
麻酔下で尾静脈からピロカルピン1㎎/kgを投与し、
その後10分間隔で各薬物投与群の唾液分泌を測定した。
尚、薬物の投与量は、それぞれ0.3日量/kg・0.5日量/kg・0.7日量/kgの3用量で検討し
唾液分泌量の測定はピロカルピン投与後
0~10分、10~20分、20~30分、30~40分、40~50分および50~60分の
10分間毎に行い、その合計量を測定した。
試験結果
唾液分泌量は表1に示す通りであった。
ホノビエン錠及び、市販鼻炎薬の0.3日量/kg・0.5日量/kg・0.7日量/kg投与群は共に
ピノカルピン誘発の唾液分泌を抑制したが、
唾液分泌量の推移及び合計量から考えて
ホノビエン錠は市販鼻炎薬と比較しても、
明らかに唾液分泌抑制作用は弱い結果が得られ
副作用となる口渇を起こす要因は市販鼻炎薬に対して
少ないことが判明した。
また、一例として、0.3日量/kg投与時の唾液量の推移と合計量の比較を
以下の図1・図2に示す。
考察
表1の結果、また図1・2からも判るように、
ホノビエン錠の唾液分泌抑制作用は
今回比較対象として用いたペラドンナ総アルカロイド配合の
市販鼻炎薬と比べ明らかに弱いことが確認された。
副交感神経遮断薬と(ペラドンナ総アルカロイド)は
鼻汁の分泌を抑制させる目的の市販鼻炎薬に多く配合されているが
粘膜分泌作用は鼻部のみに限定されるものではなく
唾液の分泌までも抑制してしまう。
ホノビエン錠はそのような働きの副交感神経遮断薬を配合せず
唾液分泌抑制作用が弱いため
口が渇きにくいという特徴を持った製品と言える。