赤血球の老化
赤血球は血液細胞の一つで
その役割は酸素と二酸化炭素の運搬です。
呼吸により得られた酸素を血液循環により
身体の隅々の細胞まで運搬し、
そして二酸化炭素を回収、
同様にそれを肺まで運搬し、
肺で二酸化炭素は排泄されます。
このように赤血球は酸素を運ぶという役割のため
常に高濃度の酸素にさらされ
酸化ストレスを受けやすい状態にあります。
酸化した赤血球の細胞膜(膜脂質)過酸化脂質となり
赤血球中に蓄積していきます。
このように過酸化脂質が蓄積した赤血球は
酸素の運搬・二酸化炭素の排泄等の機能が低下し
赤血球の老化の原因となっています。
赤血球の老化と疾患
赤血球の老化がどのような疾患と関係してくるのか?
それが認知症(アルツハイマー病)です。
アルツハイマー病患者の血液には
健常者と比較して
老化した(過酸化脂質が蓄積した)赤血球が多く存在し
赤血球の機能が低下しているため
脳の慢性的な酸素不足を引き起こし
これがアルツハイマー患者の症状を悪化させている
可能性が大きいことを
東北大学宮澤陽夫教授のグループが明らかにしました。
この研究では、赤血球中のカロテノイド(特にルテイン)が
症状の重症度に依存して減少していることも
明らかにしています。
このカロテノイドは脂質の酸化を抑制する働きがあり、
つまり、赤血球中のカロテノイドを増やせば
認知症の予防・進行の抑制に働くことが期待されています。
カロテノイド
カロテノイドとはニンジン、ほうれん草などの
緑黄色野菜に多く含まれている色素成分の総称で
代表的なものにβ-カロテン、ルテイン、リコピンなどが挙げられます。
これらの生体内での作用としては
抗酸化作用、抗がん作用等の報告が多数されています。