「五臓六腑に染み渡る」
という言葉を聞いたこともあるのではないでしょうか。
その五臓とは・・・
「肝」「心」「脾」「肺」「腎」の五つの臓器の事を指します。
ただ…
漢方の概念から考えられた五臓ですので
現代医学の五臓とは少し異なる捉え方の面もあります。
肝臓
肝は全身の気を巡らせ、精神状態(自律神経)を安定させる働きがあります。
また、血液の貯蔵庫として、血流も調整しています。
運動神経系では筋肉の運動を維持し、感覚器系では目の働きに関わり
さらには爪の栄養も担っています。
肝が弱ると感情と理性のギャップに悩み、気持ちが沈んだり憂鬱になったり
意欲が湧かなかったり、決断できなくて迷ったりします。
逆に肝が亢進すると、こうでなければならないと完璧主義に陥り
何事も自分が一番と考え、人に任せなかったり、自分の考えにそぐわないと
イライラして怒りっぽくなったりします。
心臓
血液を全身に循環させ、高次神経系の機能を統括しています。
また、心の状態は舌や顔色に反映すると言われています。
心が弱ると勇気が持てず、消極的になったり不安になったり
臆病になり、また夢を多く見たり不眠になったりします。
逆に心が亢進すると、異常に興奮してはしゃぎまわり、落ち着きがなく
発作的な行動をとることがあります。
脾臓
ここでいう「脾臓」は現代医学の「膵臓」の事を指します。
膵臓には消化の作用をするところと、ホルモン分泌を受け持つところの2つありますが
このうち消化液を出すところ、消化に関係のある所を「脾臓」と呼んでいました。
食べたものを消化・吸収し栄養物や水分を輸送し、その結果、手足や筋肉を栄養し、
疲れ、だるさを生じさせない役割をしています。
また、血管壁を正常に保ち、血液の漏出(出血)を防いでいます。
脾の弱りは口にあらわれ、味覚や食欲に反映します。
脾が弱るとクヨクヨ悩み、あれこれ迷い意欲をなくし、考えに主体性や一貫性がなくなります。
逆に脾が亢進すると、騒がしく移り気で、気が短くなり、パッパッと何事もせっかちに早く済ませようとします。
肺臓
肺に加えて気管支までを肺臓と呼んでいました。
肺呼吸と皮膚呼吸を調節し、体液の分配と排泄に関わっています。
また、体温を調節し、嗅覚にも反映しています。
肺が弱ると感受性に乏しく、機転が利かず、運動能力や反射神経が鈍く
注意力が散漫になり、うっかりミスが多くなります。
逆に肺が亢進すると、周囲が気になり、落ち着きがなく、先々を心配するようになります。
腎臓
小便の関係する腎臓と、ホルモンの関係する副腎を一括して腎臓ととらえます。
生命エネルギーの元(精)を蓄え、成長、発育、生殖などに深く関わり
腎臓における水分の排泄と再吸収を担っています。
さらに骨・歯を作り、脳にまで通じています。
また、腎の低下は耳や髪、尿道、肛門にあらわれやすいです。
腎が弱ると、やり通そうとする信念が弱く、根気、忍耐力がなく、
守りに入るため用心深く、出し惜しんだり、警戒心も強まり、
恐怖感を持ちやすく、決断力が低下します。
逆に腎が亢進すると、図々しく無礼で、口と腹が違って本音を出さなくなります。